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転職に際しての人事関係手続き注意事項

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人材の流動化という言葉が定着して久しいところですが、転職に際しては人事労務上様々な手続きが発生します。

各法律ごとにまとめてみましたので、ご参考にしてください。

①雇用保険

転職まで期間が開く場合は「雇用保険被保険者資格喪失届」に合わせて「離職票」を前職より発行してもらいます。
期間によってはハローワークで手続きをすれば失業手当がもらえることと、新しい就職先が決まった段階で「再就職手当」が支給されます。また、短期間で転職をされた場合、次の会社ですぐに退職したり、育児休業に入ることになる場合、前職の離職票が必要になってきますので、お忘れなく前の会社に発行申請してください。

②健康保険

間を開けずに転職される場合、ご自身の手続きは特に不要です。前職に保険証を返却し、新しい会社で保険証が発行されます。
間が空く場合、要注意。例えば3月15日付で退職し、4月1日から新しい会社に行く場合、3月16日~3月31日までは国民健康保険に加入しなければなりません。手続きをしないと無保険になります。この間に病院にかかることになると医療費が10割負担になります。

また、扶養者がいる場合、要注意です。保険証が切り替わるので、新たに転職先に「扶養異動届」を提出し、扶養認定に関する書類(配偶者の所得証明など)が必要になります。

③年金

こちらも間があく場合、その期間は厚生年金から国民年金に切り替わります。年金は1ヵ月単位で加入になりますので、イレギュラーですが、例えば3月5日に退職し、3月20日に再就職する場合、3月分は後者の会社での加入になりますので、国民年金の手続きは不要です。配偶者を扶養に入れている場合、②の健康保険の扶養の手続きに合わせて「国民年金第3号被保険者該当届」を転職後の会社に提出します。

④所得税

年度の途中での転職の場合、所得税は1年(1月~12月)の収入に対して課税されますので、前職より、「源泉徴収票」をもらい、転職先に提出します。これにより収入が通算され、年末に在籍している会社で年末調整により税金の計算を実施してくれます。前職の源泉徴収票を提出しなかった場合、ご自身で確定申告を実施する必要があります。

⑤住民税

通常、住民税は特別徴収というかたちで給与から控除されていますが、転職先の会社に引き続き天引きしてもらうには前職より住民税「給与所得者異動届出書」を発行してもらい、転職先に提出します。これを実施しない場合、年度の残支払額をご自身で振り込むという手続きが発生します。

⑥企業年金等

転職前の会社が確定給付企業年金や確定拠出年金に加入していた場合、一時金として受け取るか転職先に移管をすることができます。
特に、転職先に確定拠出年金がある場合、ほとんどのケースで移管できます。転職先の会社が運用している機関へ「資産移換依頼書」を発行してもらい、転職前の会社に提出し、資産を移管してもらいます。
注意点としては、「確定給付企業年金→確定給付企業年金」「確定拠出年金→確定給付企業年金」は現在のところほとんどの機関が移管できませんので、その場合は一時金で受け取る形になります。
自営業等を始められる場合、個人型確定拠出年金に移管することもできます。

⑦マイナンバー

2016年よりマイナンバーを企業に提出する必要があります。ご自身のものだけでなく、扶養されているご家族の分も含めて提出します。マイナンバーカードもしくは通知書に合わせて本人確認書類(免許証)が必要になります。提出方法等は企業担当者にご確認ください。ちなみに、当事務所ではクラウドサービスfreeeを使用しマイナンバーを回収するサービスを提供しております。

⑧その他

前職の退職の際に有給休暇を使用してということが多いと思いますが、有給休暇中は前職の社員の立場になります。この期間にトラブルがあると前職の責任になったり、転職先にも悪い印象になってしまいますので注意しましょう。また、転職日は有給休暇が終わり正式に退職された翌日からになります。有給休暇中に新しい会社に入社してしまうと二重就業等の問題が発生します。

また、前職時代の業務に係る機密情報や、取引先の情報を持ち出すと刑罰に処されますのでご注意ください。

以上、手続きだけでもこれだけの注意点が必要になります。

転職される方もそうですが、企業の人事担当者も上記の各種手続きをよく理解いただき、漏れのない手続きを実施する必要があります。社会保険労務士はこれらの手続きの専門家です。詳しくはこちらまで。

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