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新卒採用スケジュールについて 所感

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昨年度の大学卒新卒採用のスケジュールは経団連の申し合わせにより、採用説明会の開始は大学3年生の3月から、採用選考は4年生の8月からとなりましたが、様々な弊害が出たことで、今年度は採用選考の開始を4年生の6月からに繰り上がります。

毎年日程が変わる騒動を見ながら、世間では大学生のみなさんは大変だという意見が多く出ていますが、企業の人事にいる方の思いはいかがでしょうか?

自身の経験からすると、大学生のみなさんも大変ですが、企業の人事部の方も大変なのです。

通常、新卒採用は企業の人事関係の業務の中で最大のイベントという会社が多く、1年前より担当の割り振りや予算、スケジュールを組みます。これが毎年変わっていては説明会会場の押さえ、面接官のアサインなど昨年をベースに準備ができないため数倍の労力がかかります。企業に入ると分かりますが、昨年のやり方を参考にできないというのは非常に大変です。

業種によっては、本業のビジネスのイベントが重なってしまうと更に大変になると思います。

大学生のみなさんはこういった労力に触れることはないと思いますが、社会に出ると、様々な内外的圧力により思い通りにいかないこと、スケジュールの変更を余儀なくされることは多々あります。

新卒採用は一生に一度しかない大事なイベントであり、お偉い方の擦り合わせで昨年と違う準備をしないとならず大変だと思いますが、これも社会に出るための最初の試練と受け止めて欲しいなと思います。ビジネスというのはみんな一線でよーいドンする運動会ではありません。権謀術数、様々な思惑が渦巻く弱肉強食の世界です。そこで生きていくにはこの程度の変化についていけないようでは社会で生きていくことはできません。少し企業目線になってしまいますが、是非心に留めておいていただければと思います。

また、そもそも論とはなってしまいますが、この就職ルールに関しては、経団連が決めたものであって、法的拘束力もなく、この通りにやらない会社が多数でたため混乱してしまったという経緯があります。企業目線で言うと、新卒採用偏重の日本の雇用環境と、人手不足の中で良い人材を確保するという企業同士の競り合いが更に複雑な問題を起こしていると思います。スペシャリストではなくゼネラリストを養成する日本の大学教育や職業教育の価値観の低さなど、グローバル化する社会の変化にどう対応していくか、各企業の人事が考えていくべき時期だと思います。

個人的には、このような競い合いが必要なビジネスに中途半端なルールを作っても意味は全く無いと思います。正々堂々、企業の魅力をアピールし、良い人材を惹きつける努力をした会社に良い人材が集まる、新卒にこだわるのではなく、オープンな日程での通年採用を実施する。当然のことを当然に企業が行うべき時代なのではと感じています。

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